大正生まれの父が、「初めておじの夢を見た。あんなにハッキリと見るなんて初めてだ。」と急に。遠い昔に亡くなった祖父のことを言い出した。どんな内容かは聞かなかったし、父も言わなかった。それよりも母も亡くなる1年前あたりからよくそんな話をしていた。子供の頃の話とか、結婚するまでの話、賢かったおばあちゃんの話、そうこうしているうちに母は亡くなった。まるで寝ているように。

 だから父も同じでないかという思いが先に立った。それでも母も「同じことを言っていたよ」、「おじいちゃんが呼んでいるのと違うか」と神妙にならないように敢えて話しかけてみた。呼ばれて遺くのはまだ早い。「仏さんを拝んでないからと違うか」と言うと、「詣りに行く」と言うので田舎に連れて帰った。

 ちょうどその日(正月2日)は村の初集会で、本来なら大阪から住職が来るはずがコロナのために来津しないということで、代わりに貰った今年に予定されている法事の順番表を見れば、来年と思っていた祖父の50回忌が予定されている。加えて母の3回忌もある。何か不思議な巡りあわせだな、なんておもっている。